生命保険

生命保険業界の代理店手数料は透明性が求められる

急成長する保険代理店は構造的な利益相反を抱える

国内生保市場では複数の保険を横比較できる代理店チャネルが成長

1996年の規制緩和以降、複数の保険会社の商品を横比較して最適な保険商品を選択できる「乗合代理店」と呼ばれる形態が急成長した。

代理店のチャネルシェアが高まるに従い、保険会社の販売戦略も見直しを余儀なくされた。これまで自社の専属営業職員に払っていた販売費の一部を、自社の商品を販売してくれる代理店への販売手数料に置き換える流れが続いた。

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保険代理店が抱える構造的な利益相反

一方で、保険の販売代理店は構造的な利益相反を抱える。代理店のビジネスモデルは保険会社からの手数料収入に依存しており、より高い手数料を受け取れる保険商品を優先的に販売するインセンティブを持つ。

生命保険各社は代理店への手数料を引き上げることに加えて、独立系の代理店を買収するなどして間接的な影響を及ぼそうと試みてきた。本来、顧客が代理店に求めているのは顧客本位のコンサルティングであり、販売手数料や資本関係など一般の顧客から見えない要素によって推奨商品が変わることは業界全体の信用問題に繋がりうる。

透明性を高めるための取り組み

金融商品は企業と消費者の間で情報の非対称性が最も大きい分野の一つだ。業界の健全な成長のためには適切な情報開示により消費者の信頼を得ることが欠かせない。金融庁の意向のもと、業界は販売手数料の不透明性を改善する方向に動いている。

金融庁による手数料調査

2014年9月、金融庁は保険会社を通じて、代理店に販売手数料の水準などの提出を要請した。情報提供は過去に販売した個々の商品の手数料率と実際に支払われた手数料額の合計が対象で、必要に応じて個別調査が行われた。

保険の販売手数料は開示の義務がなく、契約者から保険会社と代理店の関係性が見えづらいことが課題になっていた。金融庁は、手数料目当てで特定の保険商品を契約者に勧めている傾向を懸念しており、手数料に関する情報の積極的開示を求める動きは継続している。

銀行による販売手数料の開示

乗合代理店と同じく保険の販売チャネルとして近年成長してきたのが銀行だ。貸し出し金利低下による本業の収益性悪化を補うため、メガバンクや地方銀行は銀行窓口での保険の募集に力を入れてきた。

2016年から一部の銀行が保険の販売手数料を開示する流れが始まった。外貨建て保険などの販売で高額な手数料を得ていること疑問視する声を受け、金融庁が自主的な開示を促したことが契機となった。

ほけんの窓口グループの「3プラス1」

業界最大手のほけんの窓口グループは、業界の健全な成長を牽引するために「3プラス1」という独自のルールを実施する。これは、顧客に保険を販売する前に、3回の面談を実施するというルールだ。販売効率を過度に追い求めることを抑制するための仕組みで、ほけんの窓口グループの直営店における実施率は約4割と言われる。

3プラス1

顧客に保険を販売する前に、3回の面談を実施するというルール

生保業界による手数料基準統一の取り組み

販売手数料の不透明性への批判を受けて、生命保険会社側も取り組みを始めている。生保各社が加盟する生命保険協会は、保険代理店の評価方法を統一し、顧客の意向を軽視した過度な販売促進を是正しようとしている。

一般的に保険会社は販売代理店をランクに分け、それぞれのランクに応じて販売手数料を変更する方式を採用している。ランクによって代理店が受け取る販売手数料は大きく異なるため、その評価方法は代理店の営業スタイル(どの商品をどの程度優先的に薦めるか)に非常に大きな影響を与える。

従来、保険会社による販売代理店の評価は、販売実績による定量的な評価に加えて業務品質に応じた定性的な評価が行われていた。今回の生保協会の取り組みはこの定性的な部分の評価方式を業界全体で統一しようという試みであり、生命保険各社が自社に有利な評価方法を設定して販売代理店に過度なインセンティブを与えることを阻止する狙いがある。

https://money-alpha.jp/hoken/role-of-life-insurance/
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