東大生はマッキンゼーに憧れてメガバンクに就職する

東大生は就活でも狭き門を通りたがる

就職先人気ランキングはコンサルが独占

受験競争を勝ち抜いてきた東大生は競争が大好きだ。中学受験や大学受験の経験から、狭き門の先には超過利潤があるとどこかで信じている。「穴があったら入りたい」という言葉があるが、東大生の場合は「狭き門があったらくぐりたい」だろう。

東大生の人気業種は時代とともに推移してきたが、リーマンショック後に金融の魅力が下がる中で人気を集めたのがコンサルティング業界だ。マッキンゼーなどの外資系ファームを中心に東大生の人気就職先ランキング上位を占めている。

2019年度卒業の東大生・京大生が選んだ人気企業ランキングでは、上位10社のうち7社がコンサルティング会社、そのうち野村総合研究所とデロイト・トーマツを除く5社が外資系企業となった。

東大生・京大生が選ぶ人気企業ランキング(2019年度卒業)

順位2019年度卒業前年度順位前年との差
1マッキンゼー・アンド・カンパニー7+6
2野村総合研究所4+2
3ボストン・コンサルティング・グループ6+3
4アクセンチュア8+4
5ベイン・アンド・カンパニー2-3
6三菱商事1-5
7A.T.カーニー11+4
8デロイト・トーマツ・コンサルティング12+4
9P&Gジャパン3-6
10ゴールドマン・サックス13+3
ONE CAREER調べ

なお、デロイト・トーマツ・コンサルティング(通称DTC)は外資系と勘違いされがちだが、実態はグローバルに事業を展開するデロイトグループのフランチャイズとして日本で事業を行うコンサル会社であり、定義上は日系企業だ。

就活対策向けの選抜コミュニティが増加

新卒のコンサル人気は就活時期の早期化と相まって「選抜コミュニティ」という新しい概念を生みだした。従来であれば大学4年生か大学院2年生の春から就職活動を始めていたところを、大学3年生・大学院1年生の春から準備を開始する学生が増えている。

選抜コミュニティは早期に優秀な学生を囲い込み、約1年間にわたって様々な指導を行い、人気企業からの内定獲得を支援する。選抜コミュニティの多くは新興の人材系会社によって運営され、どこも優秀な学生を囲い込もうと激戦を繰り広げる。

選抜コミュニティの普及によってマッキンゼーやゴールドマン・サックスなどの超人気企業に就職するためには有名な選抜コミュニティに所属することがほぼ必要条件となりつつあり、実績のある選抜コミュニティの入会審査の倍率は上記の企業の内定競争率より高くなっている。

セカンドキャリアの競争

就活を無事乗り切りマッキンゼーやBCGなどの外資系コンサルティングファームに就職した東大生は次の競争の舞台へと駒を進める。近年では国内のコンサル市場の拡大に合わせて採用数の増加傾向が続いており、マッキンゼーの希少価値は昔ほどない。

競争の舞台は転職市場へと移り、新卒で戦略コンサルや投資銀行に就職した優秀層によるセカンドマッチが繰り広げられる。足元で人気なのは企業買収を専門に行うPEファンドや、上場間近のベンチャーのCFOやCOOのポジションだ。両者には比較的リスクを抑えて高いアップサイドを狙えるという共通点がある。

希望の就職先から内定をもらえる東大生は一部

実際の就職先はメガバンクやメーカー

受験の延長線上の競争を求めてコンサルを志望する東大生が多い中、実際の就職先としては銀行やメーカーが上位を占めている。東大生はマッキンゼーに行きたいと思いながらメガバンクに行く生き物なのだ。

大学院卒業者は理系に偏っているため日立製作所やソニーなど伝統的なメーカーが目立つ。余談だが、東大の大学院は学部に比べると入学の難易度が低く、地方国立大の学部などから入学する人が少なくない。学部卒の東大生からは「学歴ロンダリング」と呼ばれて陰で差別的な扱いを受けることもある。

東大生の就職先人数ランキング(2018年度卒業)

順位学部卒大学院卒
1三井住友銀行日立製作所
2アクセンチュア日本IBM
3三菱UFJ銀行ソニー
4東京海上日動火災保険(同率3位)ヤフー
5三菱商事トヨタ自動車
6日本政策投資銀行(同率5位)野村総合研究所(同率5位)
7NHKアクセンチュア
8伊藤忠商事富士通
9住友商事(同率8位)中外製薬
10楽天DeNA(同率9位)
東大新聞調べ

東大卒メガバンクはコンプレックスを抱えて生きる

下記は東大新聞が銀行に就職する東大生に対して就職理由をインタビューした際に出た回答だが、批判を恐れずに言うならばこれらは全て虚勢だ。赤門前を通る東大生をランダムに選んでインタビューすれば一瞬で分かることだが、いまや東大生にとってメガバンクへの就職は負け組扱いされている。

東大生の人生は物心ついたときから競争の連続だった。サラリーマンである限り誰しも人生に細かい競争はつきものだが、彼らの人生において受験に続く最後の横並び一直線の競争が就活なのだ。

中学受験・高校受験・大学受験と順調に進んでも最後の競争で負けたら意味がない。マッキンゼーの新卒の9割が東大卒だが、メガバンクに入れば早慶やMARCHの学生も山ほどいる。東大からメガバンクに行くのは過去の努力や成功の希薄化に他ならない。

中途でコンサル転職が増えていく

東大生の間で外資系のコンサル会社が人気になったのは最近の話だ。従い、東大からメガバンクに就職してコンプレックスを抱えているのもこの数年~10年程度の話である。それ以前の東大卒銀行員は銀行員であることに誇りを持って先の見えないリストラ不安と安月給を甘んじて受け入れいる。

一方、国内のコンサルティング市場は急速に拡大している。新卒の採用数を増やすだけでは離職率の高いコンサル会社が規模を拡大することは出来ず、中途採用を加速させている。実際にメガバンクで3~5年程度働いたあとに第2新卒としてコンサル会社に転職する例も多い。

就活に失敗してメガバンクに拾われてしまった東大生にとって中途採用は絶好のチャンスだ。今後も人材の流動化は進むだろう。ただし、実力主義の外資系コンサルではメガバンクで5年働いても新卒1・2年目と同じ職位での入社になることが一般的だ。競争で負けて失った時間とプライドは戻ってこない。

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